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- Advertising is TAKUYA ONUKI Advertising Works
『Advertising is TAKUYA ONUKI Advertising Works』 著者:大貫卓也 出版社:グラフィック社 今年度は「未来」をテーマに掲げている。 大貫先生を調べていた時に大貫先生のデザインに「新しさ」を感じた。 Advertising is Takuya Onuki Advertising Works 1980-2010は大貫先生のこれまで手がけた全仕事のアイデアやデザインをオールカラーの一冊に凝縮した初版本をコンパクトにした新装版になっている。2011年以降の仕事も加えており130ページ補増している。 Advertising is Takuya Onuki Advertising Works 1980-2010 の初版はこの世に2500部しかない幻の書籍になっていて業界内でも大貫先生の全仕事の評価が高い事から、この書籍の評価も高く2018年度のADCグランプリを受賞している。 Advertising is Takuya Onuki Advertising Works 1980-2010の中の文章では、大貫先生の幼少期の頃から今のデビューするまでの事や「新しいということが最大の価値だった」このタイトルのように、大貫先生が衝撃を受けたもの、「デザイン」への考え方、どういうものを見てどう見ているのか、読んでいるだけで自分と物の見方がどう違うのかを感じさせてくれる。この本の中ではデザインの中の世界観やできるまでの過程などを細かく語ってくれていて自分の中にないデザインを引き出してくれる。 「常に新しい」が大貫先生の中の判断基準だ、常に新しいものを作り出す創造力を見ることが出来る。 大貫先生はイメージに合わせてデザインするのではなく個性を押し出すようなデザインひとつひとつが大貫先生の個性を象徴するようなデザインで大貫先生のデザインは「未来」を感じさせる、時代を合わせない新しいデザインを模索している。 Advertising is Takuya Onuki Advertising Works 1980-2010 は仕事一つ一つを見るだけで大貫先生の個性をダイレクトに感じられるような一冊となっている。 大貫先生の「個性」をまた、「未来」を感じさせるデザインを体感してみてほしい。 Text :1年 鈴木 勇也
- 『ホモ・デウス』
著者:ユヴァル・ノア・ハラリ 出版社:河出書房新社 本作は、世界的ベストセラーを記録した『サピエンス全史』の著者である「ユヴァル・ノア・ハラリ」による人類の未来にスポットを当て、飢饉、疫病、戦争に対処可能となった人類は次は何を目指していくのかをひも解いていく本となっています。 本作のタイトル『ホモ・デウス』とはホモ属のデウス科ということで、ラテン語で「ホモ=ヒト デウス=神」という意味になっています。 つまり、冒頭で記述した人類が次に何を目指すかといいますと、それはずばり「神」です。 しかし、人類は神を目指すにあたって究極の悩みを持つようになってしまいます。 それは、我々人類は何をもって判断していいかわからなくなってしまったということです。 人を殺してはいけない、嘘をついてはいけない、結婚する相手は一人でなければならない、これらはすべて神の教えによるものです。 今までの人類は判断を神に委ねてきました。 ですが、今後もテクノロジー発展すれば、人はサイボーグのような体で不老不死も実現できるし、脳みそに直接幸福成分を打ち込んで人工的に幸せを作ることだってできる。人類は無敵に近づいていく。 さて、人類は誰に判断を委ねればいいのでしょうか。 本作ではそれを「データ」だと提言しており、人類は「人間至上主義」から「データ至上主義」へ移り変わるだろうと予言しています。 「データに命令されても実行するのは人間でしょ」と思うかと思いますが、すでに我々の生活でそのような予兆が見え始めています。 例えば、美味しいレストランを探す際食べログを見ていたり、GoogleMapで最短距離の道のりを進んだりと、すでに大量のデータが出す結論を信じて疑わないようになっているのです。 我々人類は、データをまるで神様のように扱うようになる。 ただ、これでは冒頭で記述した「人類が神を目指す」とは少し意味が違う気がします。 では、如何にして人類は神を目指し、神になるのでしょうか。 是非、お手に取って確かめてみてください。 Text:2年 髙野 広輝
- 映画『バーフバリ 伝説誕生』『バーフバリ 王の凱旋』
監督・脚本:S・S・ラージャマウリ 配給:ツイン ※このコラムは『バーフバリシリーズ』のネタバレが含まれております。 『バーフバリ』とは、S・S・ラージャマウリ監督によるインドの歴代興行収入最高額を記録した有名な映画である。二部構成で作られた叙事詩的映画であり、2015年に第1部である『伝説誕生』、2017年に第2部である『王の凱旋』が公開された。 この作品は、父と子のふたつの視点から描かれた、王にまつわる物語である。 当コラムでは、『バーフバリ』シリーズの好きな点について、大まかに記させていただく。 曲と映像 自然や生き物、キャラクターの衣装が色鮮やかだがくどくない。インドの織物や花、シヴドゥがアヴァンティカに入れるタトゥーなど、とにかく色彩が美しいのである。 また、『バーフバリ』は曲も良い。耳に残り、言語がわからずとも思わず口ずさんでしまうような魅力があるのだ。特に第1部の主人公・シヴドゥとヒロイン・アヴァンティカの『Pacha Bottasi』という恋愛のデュエットソングでは文学的で情緒のある歌詞に、甘い歌声のアヴァンティカとそんな彼女にくびったけなシヴドゥの様子が声色でわかるように歌われている。 第2部の主人公で、シヴドゥの父であるバーフバリを称える『SAAHORE BAAHUBALI』では、バーフバリという人間がいかに勇敢で王の器を持っているかを力強い歌詞と歌声で表している。 ストーリー内でも映像の美しさや臨場感はあるが、曲が流れている際はそれがさらに際立っており、観客の心を強く掴むひとつの要因になっているのだ。 役者の演技分け 主人公であるシヴドゥとバーフバリは、主にトリウッド(テルグ語映画)で活躍しているプラバースという役者が一人二役で演じている。バーフバリという勇者であり王の魂を継いでいるということを暗に示す為にこの配役がなされたのだろう。 二人は親子であるが、そもそも生まれ育った境遇が全く違う。シヴドゥはとある所以から庶民として育ち、バーフバリは生まれも育ちも王族である。育てられ方がまず違うため、シヴドゥは庶民らしいとっつきやすさがあり、村の中でも変人のように扱われながらも愛され尊敬されている。だがバーフバリは、庶民への優しさや尊敬は忘れることなく常に下々の民のことも考えながら生きてはいるが、丁寧な所作や滲み出る王族としての雰囲気や品があるのだ。同じ役者だというのに『シヴドゥ』と『バーフバリ』だとまとっている雰囲気が全く異なるのである。 また、それはアヴァンティカを演じるタマンナーもそうであると言えるだろう。最初に彼女が登場した際は、シヴドゥの幻想として現れた。彼の理想の天女のような姿で甘く歌いながらシヴドゥを導き、癒しながらも翻弄する。だが実際の彼女は誇り高き兵士であり、剣技に優れ、敵をまっすぐ見つめながら殺すことのできる強さを持っている。天女と兵士という極端な存在の演じ分けには感服する。 恋愛描写 先ほど挙げた『Pacha Bottasi』では、シヴドゥとアヴァンティカが一時の青春、甘い恋の時間を共にする曲なのだが、二人とも数回ほど衣装が変わる。色味や小物を合わせた、いわゆるシミラールックで歌い、踊り、愛を語り合うのだ。 また、これは第2部のヒロインでシヴドゥの母であるデーヴァセーナも同じだ。夫のバーフバリと共にシミラールックで登場することが多く、デーヴァセーナがマヒシュマティへ嫁いだ後に何度も衣装が変わったが、すべてをシミラールックで固めていた。 これは個人的な意見だが、このシミラールックとは心を通わせている男女を表すのにもってこいの表現だと思っている。実際に漫画などでも、想いを寄せ合う恋人同士の服がシミラールックになっていたり、逆に恋人同士でも心がない場合は全く違う色の服を着ていたりと、服の色とは恋人同士の『心の関係性』を表しているのだと思う。ただ愛を語らうだけではない、言外でも想い合っているのだということを表されているのがとても素敵だ。 少し話が脱線するが、『Pacha Bottasi』の歌詞の中にはアヴァンティカがシヴドゥを「いたずら好きな恋人」と歌うシーンがある。勝手にタトゥーを入れた男を「いたずら好き」で済ませるアヴァンティカの心、あまりにも広すぎやしないだろうか。 親子愛 『バーフバリ』には、親から子への想いが血と共に強く受け継がれているのが色濃く描写されている。それと同時に、子から親への強い想いも描かれているのだ。 例えば、冒頭部分、シヴドゥの養母サンガが1000回以上にわたって御神体に水をかける願掛けの儀式を行うシーンがある。それを見たシヴドゥが「俺が代わりにやる」「俺が母さんを川まで運ぶ」と言い、最終的には御神体を滝の真下まで運んで「未来永劫水が注がれ続ける」と笑った。母の願いのために自分ができる最大のことを行う姿は、とても親想いなキャラクターだと言えるだろう。 また、シヴドゥがデーヴァセーナを助け出した際に、前述とはまた違う親子の絆が描かれていた。罠にかけられてしまったシヴドゥが目を覚ますと、悪王バラーラデーヴァの息子バドラがデーヴァセーナを虐げているのを目にして激昂する。勢い任せにバドラを殺害し、その後、バーフバリの側近だったカッタッパに「初めて会った女の涙を見て心が痛んだ」と語った。これは、本当の母であるデーヴァセーナとの見えない絆がありありと描かれているシーンだ。 バーフバリとカッタッパもまた親子愛と言えるだろう。王子と従者という関係ではあるが、バーフバリはカッタッパを「私の父のようなもの」と言い、それ以外でも「おじ上」と呼び慕っている。 そして、『バーフバリ』において語るべき親子愛と言えば、やはりシヴァガミとバーフバリの関係だろう。血縁上は本当の親子ではない(バーフバリは前王と前王妃の子。なので厳密にはシヴァガミとは伯母と甥の関係である)が、バーフバリはシヴァガミを何よりも尊重し、慕い、時には子として甘えることもある。途中でバラーラデーヴァの策略により険悪になり、バーフバリは王宮を追われてしまうが、バーフバリは「いつでも母上のために駆けつけます」と言い残し、シヴァガミもバーフバリを案じ、想っていた。 このように、バーフバリは恋愛も友愛も親子愛も、全てが色濃く描かれているのも美点のひとつだと思う。 予想の範疇を超えた派手なアクション・ストーリー 2022年に公開された同監督の映画『RRR』などを見るとおり、S・S・ラージャマウリ監督というのは派手なアクションや精巧なCGを用いることを好んでいるのがよく伝わってくる。それに加えて予想を軽く超えるストーリーや人間離れのアクションが多い。とにかく「自分が表現したいもの/観客に見せたいものをたくさん出す」という強い気概を感じるのである。 シヴドゥが雲の上まで続いている滝を登るシーンや、雪山で起きた雪崩から逃れるシーン、バラーラデーヴァの黄金像を支えたシーンなど、主人公の圧倒的なフィジカルの強さを感じられる。 そしてバーフバリが戦の際に布を用いた戦法を編み出したり、シヴドゥがマヒシュマティに乗り込む際にヤシの木を用いて人間弾丸を作るなど、観客が「そうくる!?」と驚く展開が続く。その勢いに観客は呑まれ、気付いたら見入ってしまうのだ。これは映像ならではの強みだと思う。 何よりも、前述したとおり監督の「好き」が詰まっているのだ。王道ストーリーなのに、良い意味で商業的でなく感じられるのは、監督が楽しんで映画を撮っているからだろう。 近年、インド映画が日本によく進出してくるのを見かける。きっかけとなったであろう『RRR』はもちろん、それ以前に公開された『ムトゥ 踊るマハラジャ(日本公開:1998年)』『きっと、うまくいく(日本公開:2010年、2013年)』なども有名だ。 私の観た作品だと、『ランガスタラム』『K.G.F』などもそのブームの中で日本にやってきた作品である。特に後者の『K.G.F』は、ラージャマウリ監督が大絶賛したためか現在インドにおいて最も興行収入を獲得した映画となった(後編では冒頭でスペシャルサンクスとしてラージャマウリ監督の名前が載っている)。 神話を絡めた話も多いため、インドの神話や『マハーバーラタ』『ラーマーヤナ』などの叙事詩などを知っているともっと楽しめる。 今後もインド映画への期待はますます膨らんでいくばかりだ。 Text:3年 中村 倫
- 『2040年の未来予測』
著者:成毛 眞 出版社:日経BP 最近よく話題として挙がる『2040年』という年。この年にいったい何が起こるというのだろうか。私はそんな疑問を抱いているときにこの本を見つけた。 『2040年の未来予測』は、元マイクロソフト社長の成毛眞が、2040年の日本と世界の可能性を探る一冊です。彼は、地震や気候変動、人口減少など、将来起こりうる大きな変化について、その背景と影響を詳しく分析し、読者に警鐘を鳴らしています。 しかし、この本は決して未来を暗示するだけのものではありません。むしろ、テクノロジーの進化や個々人の選択が未来を変える可能性についても探求しています。 ・中身まですべて個体で出来ている『全個体電池』。将来の電力の問題を大幅に解決するといわれています。その理由とは!? ・5Gからいよいよ6Gへ!家電製品が全てインターネットへとつながり、さらには車の『全自動運転』が可能に! 成毛氏は、最悪の事態を想定することで、読者が自らの人生において前向きな選択をする助けとなると説いています。 この本は、悲観的な未来予測に陥るのではなく、現実を受け止め、未来に備えるためのヒントを提供しています。この本を読んで、一緒に未来を想像してみませんか。 Text:2年 飯島 太陽
- 『ソードアートオンライン』
著者:川原 礫 出版社:KADOKAWA 皆さんはVRと聞いてどんなものを思い浮かべますか。様々な用途がありますが、やはりゲームと答える人は一定数いると思います。更に一歩踏み込んで”フルダイブ”と答える方もいるでしょうか。 今回はその”フルダイブ”という概念を広めるきっかけのひとつでもあろう作品、『ソードアート・オンライン』を紹介していきます。 ~あらすじ~ 仮想空間へのフルダイブが可能になって初の本格的なVRMMO、魔法がない剣の世界『ソードアート・オンライン(SAO)』のサービスが開始した。 だが、SAOの開発者の宣言により、突如としてデスゲームへと変貌した。 クリアまで脱出不可能、ゲームオーバー=現実での死。そう告げられた主人公・キリトは、はじまりの街をひとり早々に駆け出し、一人孤独なサバイバルへと身を投げる。 それから2年、キリトはSAO内最強ギルドに所属する女流剣士・アスナと出会う。アスナからのコンビの誘いを受けたキリトは、今まで知らなかった世界を教えてくれたアスナや仲間たちとともにゲームのクリアを目指す。 ということでもう少しかみ砕いて説明しますと、伝えたいのが本作では一巻で内容が完結しているということ。デスゲームの幕開け。アスナとの出会い、恋愛、イチャラブ、そしてラスボスとの対決。ですので最新巻まで読まなくとも楽しめる一冊になっています。 逆にアニメを見た方は「え、あのキャラでないの?」となるかもしれませんが、続く2巻で多くのヒロインたちが登場します。本筋の攻略部分が1巻に集約されており、各ヒロインとのエピソードが短編集の形で2巻にまとまっています。 またこのアインクラッド(SAOの仮想世界の名称)の物語は、攻略の様子を一から描くプログレッシブ(全8巻で刊行中)なるものがあるので、キリトとアスナのイチャイチャが見たい方はこちらもオススメしたいです。 本作にも出てくる”VRMMO”、今でこそ創作物では多く扱う設定ではありますが、その走りとでも言える作品だと思います。 本作では《ナーブギア》と呼ばれるヘルメット型のゲームマシンを着用することで、VRの仮想空間へと意識を繋ぐことができるようになっています。脳とデバイスをリンクさせることで、五感すべてで仮想空間に完全に入り込むことから「完全ダイブ」→「フルダイブ」となっています。 この技術を待ち望む人は、筆者含め数多くいると思います。しかし、現実問題としては非常に難しく、技術的な問題はもちろん、脳が直接かかわることによる倫理的な問題も挙げられます。 現代のVRマシンを見ても、遮断が簡単な視覚と聴覚しか機能していません。 ですが、未来のことは分かりませんし「事実は小説より奇なり」とどこぞの竜王のように、平然とフィクションを超えてくることもあります。 VRもそのように進化すればいいなと心の隅で願うばかりです。 ということでアニメだけでなく、小説の『ソードアート・オンライン』もぜひ見届けてみてください。 今回、SAOの小説の紹介をさせていてだきましたが、今年度は『ソードアート・オンライン-アノマリー・クエスト-』のプロデューサーの方に取材をさせていただく機会がありました。 『アノマリー・クエスト』のことはもちろん、VRについてなどのお話も聞くことができたので気になった方はチェックしてみてください。 Text:3年 飯田 鈴馬
- 『未来職安』
作品:未来職安 著者:柞刈湯葉 (イスカリユバ) 出版社:双葉社 まずあらすじだが将棋や囲碁などで相次いでコンピューターがプロに勝利し、自動車運転の完全自動化も実用化が近づくなど、発展が著しい人工知能。その進歩の速さに、「いずれ人間の仕事は機械に奪われてしまうのでは?」という疑問も絵空事とは言えなくなってきた。 未来職安はまさにそういう理由で人類の99%が職を失うことになったが、ベーシックインカムでそこそこ生きていける。 主要人物達は、私たちが住んでいる、世界のことを過去のものといい私たちが住んでいる世界よりはるかに楽で自由の富んだ世界で人口の99%が職を持たないまま、政府支給の生活基本金で暮らす「消費者」となり、残り1%だけが「生産者」となるその1%の中の二人と猫一匹である。二人と猫がいる事務所に舞い込んでくる仕事は様々な事情と個性を持った依頼人たちの依頼をこなしていくその日常を描いた日常近未来SF。 柞刈湯葉(いすかりゆば)のユーモアあふれる語り口に、私は胸を膨らませやってくるのではないかとそんな気がしてしまう未来を明日に描くSF物語。未来を想像しながら働かない自分を想像してしまうあなた。AIに社会を乗っ取られることを一回は想像し危惧したあなた。そんな人に私はこの一つの未来を描いた一冊をお勧めしたい。良ければ手に取り読んでみてはいかがだろうか。
- 未来予想の入門書ー『AI2041 人工知能が変える20年後の未来』
カイフー・リー(李 開復) (著), チェン・チウファン(陳 楸帆) (著), 中原 尚哉 (翻訳) 出版社:文藝春秋 20年後。「ミライ」どうなっているでしょうか。 AIが人類を超えるだったり、第三次世界大戦が始まるだったり。変わり種ではゾンビが作られてバイオハザードのようなパンデミックになっている、と言う人もいるかもしれません。 実際そのようなことが起きるにせよ起きないにせよ、未来を予測し、準備しておくことはとても大事です。 本書は20年後の未来を「技術的な面から」予想したSF短編小説集になります。小説といっても技術顧問にはGoogle中国支部の元社長や各方面の専門家が協議してつくられているそうです。 収められた10話では様々な未来に生まれるであろう技術が取り上げられます。そして著者は実際に20年後に、その技術が生まれている確率は80%あると言っています。 私が「未来予想の入門書」として紹介するのはこの点にあり、20年後の技術を知っておくことはあなたが未来を想像する大きな手助けになることでしょう。 ただ、一つ伝えたいことがあります。本書や他の方が紹介している本を読んで、「あ、未来はこうなんだ」と決めつけたりはしないでください。私たちがひとつ選択を行うたびに未来は大きく変わります。 「もしも第三次世界大戦が勃発したら?」技術はかなりの躍進を遂げるかもしれません。核戦争が起きて地球が大打撃を受け、人類が衰退していくことになることも考えられます。 私が「技術的な面から」の予想だと言ったのはこの点で、世界は技術だけで動いているわけではありません。政治的、文化的、倫理的、経済的、視点は数多くあります。 これからもよく学び、様々な視点を身につけ、そして「ミライ」への糧にしていってください。 そして、そんな未来創造に、この本は絶対に役立つことでしょう。 Text:2年 森 暉理
- 作家は時代の神経である コロナ禍のクロニクル2020→2021
著者:高村 薫 出版社:毎日新聞出版 「作家は時代の神経」――書店で見かけたこのタイトルが目に留まった。今年度のテーマが「未来」ということもあり、とりわけクリエイターの感性というものには敏感になっていた折に、その端的なワードに心を惹かれたのだ。 本書は毎日新聞出版より発行の週刊誌『サンデー毎日』にて、著者が寄稿した「サンデー時評」を再構成したものである。内容としては世界中で起こった事件・事故・異変を取り上げ、危機感の薄い日本社会に向けて警鐘を鳴らすものがほとんどである。そのため、強い言葉による批判が数多い。これらの時評を読み進めるたびに、現代の日本政治にはまるで正論が通用しないことを思い知らされるだろう。 本書のタイトルは担当編集者の提案によるものらしい。その出典は小説家(故)開高健氏が、1960年に雑誌に寄稿したポーランドの旅行記の一節とのこと。そして作家である著者自身は、自分が時代の神経などとは考えていないと記している。それでも雑誌に時評を寄せる上で、日々の出来事の中で自分が肌で感じたことを言葉にしているのだという。間違ってもテレビと新聞の前で管を巻いてるだけ、などと呼ばわってはいけないのだ。 本書のあとがきは“(日本から)世界に誇れるもののほとんどが失われたからといって、直ちに絶望する必要はあるまい”と締めくくられている。その上で“デジタル化が人間の文明にとって最善の解であるとは限らない”、“未知のウイルス一つで脅威にさらされることもある人間の暮らしの脆さについて、まずは静かに考えてみるとき”とも語っている。未来と言われて紋切り型に思いつく「デジタルの極み」な社会が、果たして幸せなものなのかどうか。あまたのSFで示された未来の結末を、今一度見直してみるのもいいかもしれない。 なお、これらの時評は2021年5月以前のものなので、2022年の出来事は当然ながら記述されていない。つまり2022年7月に、日本全国を震撼させた安倍元首相暗殺についてのことは掲載されていない。著者の時評がもっと気になる方は、今年の夏頃に出る2022年度クロニクルの購入について検討してみることをお勧めする。 Text:3年 長澤 尚輝
- シャングリラ・フロンティア〜クソゲーハンター、神ゲーに挑まんとす〜
原作:硬梨菜 作画:不二涼介 出版社:講談社 皆さんはゲームが好きですか?僕はゲーム科なのでゲームは大好きです。では、ゲームの未来はどうなっているのでしょうか。 ゲームの未来といったらもちろんフルダイブVRですよね。待ち望んんでいる人もいるのではないですか? フルダイブVRとは、仮想現実と五感を接続することで、映像や音声を感じるだけでなく、意識全体が仮想世界に入り込めるというものです。 (参照「わかる! 仮想現実その歩みとフィクションの影響/ARとの違い」より) フルダイブを知らなかった人もこれが実現されるかもしれないとなるとワクワクが止まらないのではないのでしょうか。かくいう私も止まりません。 さて、前置きが長くなりましたが今回紹介する本は『シャングリラ・フロンティア〜クソゲーハンター、神ゲーに挑まんとす〜』という作品です。 この作品のあらすじがこちらになります。 『世に100の神ゲーあれば、世に1000のクソゲーが存在する。 バグ、エラー、テクスチャ崩壊、矛盾シナリオ………大衆に忌避と後悔を刻み込むゲームというカテゴリにおける影。 そんなクソゲーをこよなく愛する少年が、ちょっとしたきっかけから大衆が認めた神ゲーに挑む。 それによって少年を中心にゲームも、リアルも変化し始める。だが少年は今日も神ゲーのスペックに恐れおののく。 「特定の挙動でゲームが強制終了しない……!!」』 (参照:小説家になろう「シャングリラ・フロンティア〜クソゲーハンター、神ゲーに挑まんとす〜」より) そして、こちらの作品は主にゲームの話なのですが、そのゲームがすべてフルダイブVRなのです。 こちらの作品はあまり出来が良くなくバグやがエラーが多くあるいわゆるクソゲーを愛する主人公の陽務楽郎がふとしたことから大衆が認める神ゲーをすることから始まる物語となっています。そしてそこで始める神ゲーが”シャングリラ・フロンティア”というわけです。 シャングリラ・フロンティアの中で主人公がゲームの中心となり、クソゲー時代の仲間などと一緒にシャングリラ・フロンティアを攻略していく話となっています。 本作品といったらなんといっても主人公陽務楽郎の戦闘時の爽快感ですね。戦闘時主人公がノリに乗って敵を倒すシーンは爽快感を感じながら読み進めることができます。 ほかにも、クソゲー時代の仲間なのですがこれがまた癖が強いんですね。そしてなんと主人公も癖が強いんですよ。これは実際にイラスト見てもらわないとなにをいっているんだと思うかと思いますが、主人公はゲーム開始時、半裸で鳥のマスクをかぶってゲームを開始します。もうこれだけで主人公のくせの強さ、作者の癖の強さがわかったと思います。その主人公とやっていけているぐらいですから…そりゃあ、仲間も癖が強いですよね。そういうことです。 そしてこちらの作品は実績の面でも好成績を残しております。2021年の「次にくるマンガ大賞2021」コミックス部門第5位を獲得しています。こちらの面からもどれだけこの作品が人気なのかわかったと思います。 気になった方は一度読んでみてはどうでしょうか。 Text:1年 髙野 広輝
- グッドアンセスター わたしたちは「よき祖先」になれるか
『グッド・アンセスターわたしたちは「よき祖先」になれるか』 著者:ローマン・クルツナリック 翻訳:松本 紹圭 出版社:あすなろ書房 この本では我々が「よき祖先」になるために何を考え、どのように行動すべきかが書かれて いる。 まず始めに短期主義と長期主義の綱引きの仕組みについて。次に、長期思考をするうえで存在する6種類の方法について。最後に、前述した6種類の方法が現代においてどのように取り組まれているかを実例とともに語る、という3つのパートに分かれている。 「短期思考」と「長期思考」。私たちは既にどちらも持ち合わせていたのだ。 本書の帯にもある『「短期思考」から「長期思考」へ』。本を読む前にはてっきり短期思考に囚われているとばかり思っていたがそうではなかった。いや、正確に言えば囚われているのだが、そこから脱する一歩は既に踏み出していたのだ。 そもそも短期思考と長期思考の差というものがどのようなものか二つほど例を挙げる。 休日にビーチで大はしゃぎするか、それとも老後のために貯蓄をするか。 目の前におやつを置き、15分の間食べなかったら一つ増える状況にて、今すぐ食べるか二つになるまで我慢するか。 後者の例は4~6歳の子どもを対象に実験されたもので、結果としては三分の二がすぐにおやつに手を出してしまうというものだった。 この結果は人間が本来持つ「短期思考」が表れた結果ではあるが、その半面、三分の一が我慢をできたという証拠でもある。 つまり子どものころから長期的な考えを持つことはできているのだ。 しかしそれがそのまま定着するわけではない。もちろん一部の人や一時の行動ではあるかもしれないが、全体を見通した時の数は少ないだろう。だからといってこのまま生きていけば目の前のことばかりに囚われる生活になってしまう。 そのためにも今すでに「長期思考」が身になる直前だと学ぶことができた私たちから行動に移していかなければいけないと思う。 おそらく周りの環境で今すぐに結果や報酬を得なければいけない、ということが多々あると思う。未来を見据える考えは大切だが今が覚束ない状態では意味がない。だが全て流されていては結局は変わらない。どこかでリスクを負わなければならないのだ。 そこで「何を、どう考えるか」というのが本書には記載されている。ぜひ本書を自身の目で読み取り、思考し、まずは5年後、10年後に何をしたいかというのを考えてみるといいかもしれない。 Text:2年 飯田鈴馬
- 天才たちの未来予測図
『天才たちの未来予測図』 著者:成田悠輔、斎藤幸平、小島武仁、内田舞 編著者:高橋弘樹 発行所:株式会社マガジンハウス 私はこのコロナ渦で変わった生活や家庭内での経済問題の経験を経て、社会情勢に焦点を当てて物事を考えることが多くなりました。社会情勢を知れば知るほど日本の未来についても考えてみたいと思うようになりました。そこで今回、私が読んだ中でも特に興味深いと感じた「天才たちの未来予想図」という本について紹介したいと思います。 この本では、タイトルの通りの天才4人が登場します。簡単に紹介すると、イェール大学助教授・成田悠輔、東京大学准教授・斎藤幸平、東京大学マーケティングセンター長・小島武仁、ハーバード大学医学部助教授・内田舞の4名です。大学名だけでもわかるこのそうそうたる方たちが、自らの研究、知識をもとに未来予想を繰り広げます。 成田悠輔先生は、「『わけが分からない人間』が輝く時代」というテーマをもとに、先生の研究対象である「データ」を使って未来を予測していきます。今まで当たり前だと思っていたことが実際データ化してみると明らかに間違いであったり、それを踏まえた上での未来の教育の在り方について語ったりしています。教育関係に興味のある方は必見です。 斎藤幸平先生は、「『脱成長』で、格差と環境問題を“同時に”解決」というテーマを軸に話を進めていきます。ここでは、現在の資本主義国家の日本の現状を見たうえでマルキシスト的な目線で考える未来について話しています。比較的多くの人が思っている「社会主義」のイメージが変わるかもしれません。個人的には一番面白かったです。 小島武仁先生は、「『マッチング理論』で、社会のゆがみを正す」というテーマに沿って、人事面から話を進めていきます。内容説明共にシンプルで、読めば人事の問題が割と単純に解決できることに驚くかもしれません。 内田舞先生は、「最新脳科学からわかった『心を壊さない』思考法」という、これまでの天才たちとは一風変わった目線から話を展開していきます。主に子供の心について理解することが出来る内容です。 以上の4人の天才がそれぞれの方面から未来を予測していく様子をこの本一冊で体感することが出来ます。これを読み、天才たちとともにあなたも未来予測をしてみてはどうでしょうか。予測した未来をもとに進めば、あなたの毎日が少し楽しくなるかもしれません。 Text:1年 飯島太陽
- 新しい世界を生きるための14のSF
編者:伴名練 出版社:早川書房 SF大好き! この本は、そんな人に向けて、AIが進歩したりコロナが流行ったりしている現代に対応した、新進気鋭の新人SF作家14人による渾身の短編集となっています。前書きでは、「『三体』の次に読むべきSFはこれだよと広めてください」とあったので、私も加勢できればと思い紹介文を書かせていただきます。 本書は短編とはいえ14本もお話が載っているので本自体割と分厚いです。しかし、目次には「宇宙」「超能力」「VR」のようにタイトルと共にそれぞれのテーマが記載されているので、自分の気になった作品からつまみ読みしていくことも可能になっています。普段あまり本を読まないよという方でも手に取りやすいのではないでしょうか。 私が特に気に入っている作品は、1番目に掲載されている八島游舷の『Final Anchors』 です。AIの自動運転が当たり前になった近未来。AI搭載車には不測の事態に備えて、緊急停止用の通称“ファイナル・アンカー”が備え付けられている。しかしアンカーを射出して車を停止させると搭乗者は衝撃に耐えられず死亡してしまう。ある交差点、二台の車の衝突予測は0.488秒後。どちらが“アンカー”を射出して犠牲になるべきか、AI同士の最終審判が始まる…。 このお話はAI同士の対話で進行していきます。どちらにこの事故の責任があるか、搭乗者 はなぜこうしなかった、運転手の社会的地位は、など多角的な視点で犠牲者を決めるんですが、AIの中に感情が見えたりして話が複雑になっていくさまが非常におもしろく、ぜひ読んでもらいたい一作です。自動運転の倫理問題について考えるきっかけにもなりました。ちなみに結末はかなり“エモい“です。 他にも江戸時代に繰り広げられたスパコン騒動を描く『大江戸しんぐらりてぃ』や“某激安の殿堂“が蔓延したサイバーパンク世界を描く『ショッピング・エクスプロージョン 』、あの大流行した感染病が存在しない鏡の世界との接続を描く『それはいきなり繋がっ た』など、最新のSFテーマを新鮮な切り口で調理した短編がたっぷり14作収録されてい ます。 いよいよSF(サイエンス・フィクション)がSNF(サイエンス・ノンフィクション)になっていく21世紀。新世界を生き抜くために、新しい価値観を本書で“インストール”していきましょう! Text:3年 河本 ワダチ