top of page

F interview​ 12

F interview12

「個性豊か」の表現者

スクリーンショット 2025-02-21 231656.png

作家


​水沢 夢

『俺、ツインテールになります。』を始めとする、明るくポップな中に暗さもある絶妙なバランスの作品を生み出し続け、読者を魅了し続けているライトノベル作家。

個性的なキャラクター達を輩出し続け、様々な面白さを提供してくださる水沢夢先生から、クリエーターとしての興味深いお話を聞かせていただきました。

プロフィール

                水沢夢(みずさわゆめ)

青森県生まれ。現在も青森県で作家活動中。

2012年、第6回小学館ライトノベル大賞で審査員特別賞を受賞、「ガガガ文庫」より作家デビュー。

代表作はTVアニメ化もしたライトノベル『俺、ツインテールになります。』(既刊20+2巻)

ふぉーくーるあふたー』や『双神のエルヴィナ』等。

また『SSSS.GRIDMAN』、『SSSS.DYNAZENON』、『グリッドマン ユニバース』のノベライズや書籍短編も担当。

漫画原作や脚本などにも参加している。

〈ウェブサイト〉

​ツインテールの夢。

X(旧Twitter)

『俺、ツインテールになります。』とは

oretwi1cover.jpg

『俺、ツインテールになります。』は、2012年から2022年までガガガ文庫で刊行されていたライトノベル。

第6回小学館ライトノベル大賞審査員特別賞受賞作。

本編の1~19巻に加え、元々アニメ円盤の特典小説だったものを新たな描き下ろしも加えて第4巻と5巻の間に起こった物語として再編した番外編、第4.5巻と、19巻の後日談を語ったエピソード、第20巻も合わせて、合計21巻が発行されている。

作家を志した理由や経緯・書き始めた時期

大人になってもまだ自分のやりたいことを追い求めてみよう

子どものころからずっと作家やクリエーターになりたいと思っていたわけではありません。

ゲームが好きで、子どものころはゲームのキャラクターを絵に描いたりしていた程度でした。

大人になってからは普通に就職し、特に特別な事もなく過ごしていました。

しかし、2011年の春に自分も住んでいる東北地方で震災が起きたことがきっかけとなり、少しずつ自分のやりたいことを真剣に考えるようになりました。

震災が直接的な原因というわけではありませんが、大人になってもまだ自分のやりたいことを追い求めてみようという気持ちが強くなったのです。

それから、2011年の新人賞の締め切りに応募し、受賞。その翌年にはデビューを果たすこととなりました。

デビュー作ができた経緯

自分の好きなものを存分に詰め込んだ方が面白いものができるはず

実は、ライトノベルを読む機会があまりなくて、本格的に意識したのは〝ノベライズ〟からでした。元々小学館の少年サンデーで連載されていた「ハヤテのごとく!」という漫画を読んでいて、同じくその派生作品としてノベライズが小学館のガガガ文庫から出版されていることを知り、そちらも手に取ってみたのです。それがとても面白くて、ライトノベルというジャンルに興味を持ち始めました。

そうして自分も何かを書いてみようと思い立ち、新人賞に応募しようと考えたのです。

応募先を調べていた時、先述のノベライズを購入していた小学館ガガガ文庫にも新人賞があることを知り、しかもその年には好きな漫画家である畑健二郎先生が審査員長を務められるとあったため、何かの縁かもしれないと思い、『小学館ライトノベル大賞』に応募することにしました。

 

何を応募作のテーマにしようかと考えたとき、やはり自分の大好きなツインテールが浮かびました。ただ、ツインテールだけで一冊を完結させるのは難しいかもしれないと思い、次にもう一つ自分の好きな、特撮作品の要素を加えることを思いつきました。

ツインテールと特撮という自分の好きな要素を組み合わせて、新しい物語が作れるのではないかと思ったのです。

しかし応募前にライトノベルの書き方を少し学ぼうと、教本を1冊購入してみたのですが……そのアドバイスの中に、ライトノベルで扱うのは避けた方が無難、というものの中に「特撮ネタ」がありました。

とはいえ、正直自分の執筆技術にはまだ全然自信がなかったので、自分の好きなものを存分に詰め込んだ方が面白いものができるはずだと信じ、初志貫徹して「ツインテール」と「特撮」をテーマにした物語を創ることに決めました。

その結果完成した作品を応募し、それがありがたくも受賞をさせていただいて、私のデビュー作となりました!

「ツインテール」という髪型が好きになった経緯、理由

躍動感のある動きに魅力を感じた

こういった作品を書いていると、「1番好きなツインテールのキャラは誰ですか?」や「その原点は何ですか?」とよく聞かれるのですが、正直なところ、特定のキャラに強烈に影響を受けてツインテールが好きになったというわけではありません。

子どもの頃、アニメ作品の中で動いているツインテールのキャラを見て、最初に感じたのは「可愛い」というよりも、むしろ「かっこいい」という感覚でした。

特に、アクションシーンで髪型がふわっと揺れるような、躍動感のある動きに魅力を感じたんです。

まだ言葉にするのがむずかしかった子どもの頃、その「なんとなくかっこいいな」という印象が、ツインテールキャラへの興味のきっかけになったと思います。


それが少しずつ積み重なっていき、気づけば「このキャラも好きだな」「あのキャラもいいな」と、徐々にツインテールキャラへの愛情が深まっていったというのが、私がツインテール好きになった理由です。

ツインテールの次に好きなものについて

​百合の属性が好き

作品を書こうと思ったときにヒロインをダブルヒロインにしようとは考えていました。

ただ、自分は百合の属性が好きなのでそのヒロインたちが百合に見える感じになってしまってはいけないと思い、ライバルでありながら、お互いが一番の理解者になるような関係性を描きたい、と考えました。

その上でこの2人を百合好きな人が見たら「これ、百合っぽいかも」とうっすら感じられる程度の塩梅になっていたら一番いいのかな、と思っています。

個人的にはめちゃくちゃイチャイチャするような百合ではなく、どちらかと言えば、なんとなくお互いを理解し合っている雰囲気のある百合が好みですね。

個性的なキャラクターのアイデアの出し方

(作中のキャラクターを三人ほど抜粋し話していただきました)

主人公「観束総二」について

主人公は最初からこういうキャラクターにしようと決めていました。一見すると、作中で一番変わったキャラクターばかりの中で唯一の常識人に見えるようで、実は一番「ヤバいやつ」だというのを目指したんです。

まず、女の子になることに喜びを感じるキャラにはしたくないと思いました。当時、TSFというジャンル自体があまり浸透していなかったので、「ただ女の子になれて嬉しい」というのは受け入れられがたいと感じていました。

そこで、自分の好きなツインテールになれることに喜びを感じるキャラクターにしようと考えました。こうすることで、少し変わった、面白いキャラクター像が生まれると考えたのです。さらに、変身したら小さくなるという設定も加えました。

見た目が怖い怪人が、まるで子どもや孫を愛でるように可愛い可愛いと愛でる姿になる主人公。この絵面が面白いのではないかと思ったんです。

ヒロインの一人「津辺愛香」について

最初は変人ばかりの中でツッコミ役をしていく、いわば読者目線のキャラクターにしようと思って書いていたのですが、何かが突出していないと、この作品の中では埋もれてしまうのではないかと感じました。

そこで、変身せずとも超人的なフィジカルを持っているキャラクターにしたら面白いのではないか、という考えに至りました。さらに、ヒーローに守られるヒロインではなく、徹頭徹尾、主人公を守るために戦う強い意志を持ったヒロインにしようと思ったのです。

中ボスキャラ「ティラノギルディ」について

よく言われるのが、1巻のボスキャラ「ドラグギルディ」という怪人で、ツインテールになれてしまうというインパクトのある怪人で、一巻で使い切ってしまうのはもったいないのでは、という意見もよく言われました。ですが、デビュー作ということもあって、次のことを考えて出し惜しみしていては絶対に受賞できないだろうと思ったんです。ですから、ツインテールのボスキャラとしては1巻で完全燃焼しようと決めました。

続刊が決まって以降はさまざまなことを考えてボスキャラをつくっていったのですけれど、10巻という中盤の山場に戦うティラノギルディというキャラを、主人公がパワーアップするための存在として位置づけ、主人公の写し鏡のようなキャラにしようと思いました。

ティラノギルディは、とてもカッコつけていて、なんとなく常識人ぶっているけれど実際にはかなり抜けている。でもボスらしく強い。というキャラです。そして、主人公との違いは「人望がない」という点です。周りから全然支持されず、何を言っても滑ってしまいます。

そんなキャラが主人公と関わっていくうちに、少しずつ変わっていくのです。最初はかっこつけて戦っていたティラノギルディが、次第にむき出しの感情で戦うようになり、それによって周りからの人望も得ていきます。逆にその変化が、主人公にも影響を与え、彼の成長に繋がっていく、という相乗効果を生み出すキャラクターにしようと考えました。それに加えて、ティラノギルディは百合属性の敵ということで、自分の好みも反映させつつ、気合いを入れて作り込みました。

メディアに関するお問い合わせは、mojitama book編集部までご連絡ください

Mojitama book 編集部

  • Twitter
  • Facebook

134-0088

東京都江戸川区西葛西5-3-1
東京コミュニケーションアート専門学校

第1校舎7階
​教務内・モジタマブック編集部

 [TEL]03-3688-3421

ありがとうございました

© 2025

 mojitama 

bottom of page