個性を生かしたバトルの展開や特殊能力の発想元
バトルに関して
バトルに関しては、完全に自分の好きな特撮のメソッドを取り入れて作っています。特撮番組にはなんとなくいい意味で、定まったフォーマットがあるように感じていて、話の展開に合わせて戦いをどう配置するか、どのタイミングでバトルを入れるか……よく観察していると、とても創作の参考になります。
例えば、話が重くなってきたらすぐにバトルに移行する、というような仕組みがそれにあたります。子供の興味が逸れないうちにヒーローを出すのでしょう。
この手法は、ライトノベルにも応用できるのではないかと考えました。読者が飽きないようにすることが重要ですから。
自分としては、2ページに1回くらいは、ギャグでもバトルでも、何かしら「お!」と感じてもらえる瞬間があればいいなと考えていて、それに合わせて進め方を作り上げました。
特殊能力について
特殊能力に関してなのですが、私はゲームが好きで、特に子供の頃に遊んでいた「ロックマン」シリーズが印象に残っています。このゲームでは、倒した敵キャラから能力を獲得するシステムがありました。
これを元に、今回の作品でも特殊能力を使える設定を考えてみたのです。
敵キャラはそれぞれ異なる性癖や個性を持っていて、その戦いを通じて、主人公たちと敵たちがお互いに理解し合い、主人公たちは相手の性癖を理解することになるので、結果的にその性癖の力を使えるようになる。というシステムにしました。
能力がどういったものになるかは、戦いの状況やその場の流れによって決まるため、能力の内容がテーマに沿っているものもあれば、ちょっと外れているものもあるかもしれません。
作品のアイデアはどのような時に浮かぶのか、アイデア不足になることはあるのか
何かアイデアが浮かんだら、その場でメモするように
アイデア不足というのはあまり感じないのですが、敵のモチーフに関しては、だんだんとドラゴンや恐竜などのメジャーなものがなくなってきたと感じることがありました。
特撮作品には、もしかすると同じ悩みがあるかもしれませんね(笑) モチーフが次第に限られてくるのは避けられない部分です。
逆に、性癖の方はむしろ多くて、そちらで困ることはありませんでした。
アイデアが浮かぶタイミングについてですが、寝る前によく思いつくことが多いです。仕事を終えて「さあ寝よう」と思った時に、ふっとアイデアが浮かぶことがよくあります。
もしその時に「明日書こう」と思ってしまうと、すぐに忘れてしまうことが多いので、枕元には必ずスマホか「ポメラ」を置いています。これらはアイデアをメモするために使用しています。寝る前に何かアイデアが浮かんだら、その場でメモするようにしているんです。
実際に書いているときにもアイデアが浮かぶことがよくあります。書き進めるうちに、「こちらの展開の方が面白いな」と思うなどして、書いている途中で方向性を修正することが多いですね。
コミックマーケットに参加している目的
直接会ってみんなと繋がれたらいいな、と思った
出店している作家さんの知り合いが何人かいたので、自分も一度はやってみようかなと考えていました。デビュー作のゴールが見えてきた時に、試しに出てみようと思ったんです。
地方に住んでいるので、想像以上に人と交流する機会が少なくて、だからこそ直接会ってみんなと繋がれたらいいな、と思ったんです。実際に参加してみたら、非常に多くの読者の方が来てくれて、感想を言ってくれたり、応援してくれたりして、それらがすごく励みになりました。
最初は2、3回で一区切りつけようと思っていたのですが、ちょうどその頃にコロナが流行り始め、人との繋がりがますます遠くなり、交流がほとんど途絶えてしまいました。それを経験したことで、コロナが明けてからはまた参加し続けています。
SNSで簡単に人とつながる時代ではありますが、やはり直接やり取りをすることが作家としても励みになりますし、1ヶ月に1回などのペースではむずかしくても、年に1、2回なら仕事をしながらでも続けられるかなと思い、今も続けています。
クリエーターとして、ファンの方々にどんなことを伝えたいか
お互いに楽しんで、私はより良いものを書く
私は非常にニッチなジャンルを書いている作家なので、応援してくれる読者がいないとすぐに活動を続けることができなくなってしまうという自覚があります。だからこそ、読者のみなさんに支えられ、今の自分があると思っています。
そのため、まずなによりも読者を楽しませることを一番に考えているんです。
お互いに楽しんで、私はより良いものを書く。そんな関係を築いていけたらいいなと思っています。
作品のテーマ、どんな気持ちを込めて書いたか
「自分の心を力にして戦うこと」
全ての作品に共通しているテーマは、「自分の心を力にして戦うこと」です。その根底にあるのは、好きなものを素直に好きだと言えること、そして自分の好きなものに自信を持つことです。
今の時代、ネットでさまざまな情報を発信できるようになったことで、飾ったり取り繕ったりして話すことが多くなっていますが、それに惑わされず、人に何を言われても、自分が本当に好きなものを大切にしていくことが大事だと思います。
そう、自分が一番好きだと思えるものを、一番大切にする。それが、私の作品に共通するテーマです。
まだやったことのない中でやってみたいことはあるか
ホラー小説や、バトルが一切無いラブコメを
実はホラー映画が好きで、そこからインスピレーションを得てホラー小説を書いてみたいという思いがあります。現在でも、ヒロインが暴れるシーンなどでホラー映画のキャラクターを意識した描写をすることが多いです。映画を観ることで、恐怖の演出やキャラクターの描き方に対する理解も深まります。
最終的には、読者を心から震え上がらせるような作品を書けたらいいと考えていますが、実際にそれを形にするのは簡単ではなく、日々試行錯誤をしています。
それでも、いつかはそういう作品を世に出すことができればと思っています。
また、ホラーだけでなく、バトル展開が一切ないラブコメも書いてみたいと考えています。今はその練習として少しずつ取り組んでいるところです。
どちらのジャンルも、今後の挑戦として楽しみながら書き進めています。
10代・20代に伝えたいこと
若いうちに身体を鍛えておくことが後々大きな活力になる
10年、作家をやってきて感じているのは、やはり若いうちに身体を鍛えておくことが後々大きな活力になるということです。昔は運動部に所属していたので、30代になっても徹夜できるぐらいの体力は維持していました。
創作活動に限らず、いざという時に頑張れる体力を保つことが一番大切だと実感しています。健康に気を使うことが、結局は創作活動にも良い影響を与えるんだなと思います。
また、やりたいことがあったときに後回しにせず、その瞬間にやってしまうことが一番だとも感じています。自分自身の体験として、やりたいと思った時にすぐに行動しておいたことが功を奏したことがあり、逆にあの時にやっておけばよかったと後悔することもあったのです。
もちろん、失敗しても挽回できる仕事だという面もありますが、創作をやってみたいと思った時には、その時に挑戦してみるのが一番だと思います。
クリエイターを目指す人へのアドバイス
続けていく上で大切だと思っている大切な3つの事
私がまがりなりにもこの仕事を続けてこられたので、「誰でもなれますよ!」と思うのですが、「続けていくこと」は非常にむずかしい職業だと感じています。私なりに続けていく上で大切だと思っていることが3つあります。
・お世話になっている人たちへの感謝を忘れないこと。
・誠実に仕事をし、常に精進すること。
・健康に気を遣うこと。
以上の3つです。
この3つがちょうど「心・技・体」に相当すると思っていまして、自分がかっこいいことを言いたいなと思う時は、これらを意識して言うようにしています(笑)
水沢夢先生にとってのミライとは
短いスパンで決めたことの積み重ね
子どものころ、空想していた未来は、ものすごい技術に囲まれ、想像もつかないような世界だと思っていました。しかし、実際に大人になってみると、そんなに劇的な変化があるわけではなかったです。
確かに携帯電話は薄くなったりしているものの、気軽に車で空を飛ぶような時代には到底なっていません。結局、未来というのは1年ごとに短いスパンで「次はこうしよう」「次はああしよう」と決めたことの積み重ねなのだと感じています。
そうした短期的なビジョンの実現が、私にとっての未来だと思います。

取材風景:あまり緊張されている様子も無く、分かりやすくお話してくださいました。
取材メモ

●企画/本文構成:石川 剣門
●取材:石川 剣門、加賀爪 玲哉、森 暉理、栗田 大地
●撮影:加賀爪 玲哉
●WEB制作:石川 剣門
●掲載日:2025/03/01
なんと今回、水沢夢先生がTCAの方へおいでくださいました!
普段は青森の方に住んでらっしゃるのですが、偶然別のご用事で東京に来られていたそうで、対面しての取材に応じていただけることになりました!
初めての取材だったこともあって準備に手間取ってしまったり、変に緊張してしまったりと不安要素がたくさんありましたが、無事終える事ができて安心しています。
取材本番の前に質問内容を送っていたのですが、それを元に先に回答を用意してくださっていて、特にキャラクターに関してはボスキャラクターの話まで細かく教えていただき、とても感動してしまいました。
さらに、送った物とは別の追加質問にも丁寧に答えていただき、とてもありがたい限りです。
今回はわざわざTCAまでご足労いただいき、取材にご協力してくださりありがとうございました。
(石川 剣門)