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未来=若い人への期待

未来を担う10代・20代に対して伝えたいこと

 新しいことに対して抗うのではなく、受け入れて欲しいと思っています。

 最近だとAIでリアルな絵を描くソフトとか出てきたじゃないですか。あの流れは絶対に止められないので、それに抗わず、その新しい技術を真っ向から勉強して「これを利用してどう使いこなすか」ということを考えてほしいと思います。

 AIの文章や絵にちゃんとした著作物として認められるNFTという技術があるので、そういったものも積極的に自分から学んで考えて欲しいです。「これをどうしたら自分の表現活動に使えるか」というふうに。

 時代の流れ、技術の流れに抗うんのではなく、それを自分の中で積極的に勉強して身に付けていってほしい、と思います。今までのことと同じでは、振り落とされてしまうと考えているので。

クリエーターを目指す人たちに向けてメッセージ

 先ほど述べたことと同じ、「抗うことなく、新しいテクノロジーと共存して欲しい」ということです。

 あとは、コスパを考えないで欲しいと思っています。

よく「コスパ」や「ブラック」という言葉を聞きますが、クリエーターなんてすごくブラックなんです。ただ、ブラックだなんて思ったこともないです。

 クリエーティブっていうのは、どちらかというと仕事ではなく生き方なので。「今日は16時からずっと創作しているからブラックだな」とか、そういうのは思わないんです。

 コスパのいい表現なんて考えちゃダメということです。コスパのいい表現でうまく食べていこうなんてことはありえないので。

 世代間の考え方の違いもあるかもしれないですが、「プロとしてやっていくためにはこの世界に1万時間身を投じなさい」という考えが昔からよく言われています。例えばバイオリンを1万時間必死に練習したらプロ並みの腕になるとか、そういったものの話です。

 それに近い感覚は自分の中にもあって、漫画を描き始めて、頭から出てきた物語を手からスラスラと出せるようになったのは、計算するとそのくらいの時間は描いたころでした。それまでは苦しみながら描いていたので。

古屋先生にとっての「未来」とは

 人を見て、その人の未来に希望を持ったりはしますが、自分の未来はあんまり考えられないです。(見ているのは)こうして会ってる若い子たちがどういう世界を作るのか、どういうクリエーティブをしてくのかなという、そういう希望です。

自分の息子も漫画描いたりしていて、どういう物語を書いていくのかなっていう、期待があります。だから(自分の中では)「未来=若い人への期待」ですね。

 自分はもうこの歳なので、自分の未来に対して特に期待はしていないんです。

 やはり、若い人のクリエーティブに「どんな世界を見せてくれるのか」という期待。どういう物語が出てくるのか、どういう音楽が出てくるのか、どういう映画が出てくるのか。

 見たことないものを見せてくれる、そういう期待です。

●企画/本文構成:中村 倫

●撮影者:野水 聖来

●取材&データ作成:中村 倫、野水 聖来、 飯田 鈴馬

​取材メモ

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 10代、20代からの支持が強い人気漫画家・古屋兎丸先生に取材させていただきました。

​ 作風が幅広く、あらゆるジャンルを独自の世界観で解釈し表現する古屋先生に今回取材させていただき、改めてその深い考えや自分の考えを持ち、作品を描く上での取材力やそれを自分の作品に落とし込む技術力に感嘆いたしました。

 取材させていただき、自分もクリエーターを目指す一人の人間として心を大きく動かされました。​改めて御礼申し上げます。(中村 倫)

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