作品:未来職安
著者:柞刈湯葉 (イスカリユバ)
出版社:双葉社
まずあらすじだが将棋や囲碁などで相次いでコンピューターがプロに勝利し、自動車運転の完全自動化も実用化が近づくなど、発展が著しい人工知能。その進歩の速さに、「いずれ人間の仕事は機械に奪われてしまうのでは?」という疑問も絵空事とは言えなくなってきた。
未来職安はまさにそういう理由で人類の99%が職を失うことになったが、ベーシックインカムでそこそこ生きていける。
主要人物達は、私たちが住んでいる、世界のことを過去のものといい私たちが住んでいる世界よりはるかに楽で自由の富んだ世界で人口の99%が職を持たないまま、政府支給の生活基本金で暮らす「消費者」となり、残り1%だけが「生産者」となるその1%の中の二人と猫一匹である。二人と猫がいる事務所に舞い込んでくる仕事は様々な事情と個性を持った依頼人たちの依頼をこなしていくその日常を描いた日常近未来SF。
柞刈湯葉(いすかりゆば)のユーモアあふれる語り口に、私は胸を膨らませやってくるのではないかとそんな気がしてしまう未来を明日に描くSF物語。未来を想像しながら働かない自分を想像してしまうあなた。AIに社会を乗っ取られることを一回は想像し危惧したあなた。そんな人に私はこの一つの未来を描いた一冊をお勧めしたい。良ければ手に取り読んでみてはいかがだろうか。
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