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『俺、ツインテールになります。』

石川剣門


著者:水沢夢

イラスト:春日歩

出版社:小学館






特撮、というものは大抵「映像だから、ビジュアルがあるから描ける」、「小説で表現するのは難しい」と言われます。

 そんな中、特撮と言うモチーフを文字で扱いながら人気を博した、ある意味で未来を先取りしたような小説があるのです。

 特撮というものは得てしてSF、サイエンス・フィクションも扱う一面もあり、本作もまた、所々でいつか技術が完成するかもしれない科学を取り扱っています。

 今回は、そんな目の付け所が鋭すぎた作品のご紹介。


 ~あらすじ~

     みつかそうじ

 観束総二はツインテールを愛する普通の高校生。

 ある日、彼の前に異世界から来たという美少女・トゥアールが現れる。

 時を同じくして、総二の住む町に怪物たちが出現!

「この世界の全てのツインテールを我らの手中に収めるのだ!」

                                     エレメーラ

 彼らは人々の精神エネルギー『属性力』を糧にする異世界人だった。

                                                                テイルギア

 トゥアールから、強力なツインテール属性で起動する『空想装甲』を託された総二は、幼女のツインテール戦士・テイルレッドに変身!

                      ・ ・

 こうして異世界の変態たちとの壮絶な戦いが始まった!?


 このようにあらすじの時点でアクセル全開な本作。

 「ツインテール」と「特撮番組」の二つが主な要素で構築されています。

 その上で、特撮における怪人が各々「性癖」と呼ばれるものに精通しているプロフェッショナルとも言える存在となっています。

 全体的にポップで明るく、時には暗めの話も。と読みやすい内容になっております。


 また、本作に限らず著者である水沢夢先生の作品は「自分の心を力にして戦う」と言うテーマが込められており、本作に至っては分かりやすく精神エネルギーと言う形で登場しています。

 あれが好き、これが好きと思う心の力を、戦う力として利用する。

      エレメーラ

 「属性力」とは、そういった思いの力、精神が生み出すエネルギーなのです。

 主人公たちは、ツインテールが好きと言う心を利用して怪人と戦う力に変換する。

                                       テイルギア

 それがあらすじに書かれている「空想装甲」なのです。

 主な舞台は現代日本ですが、使われている技術は基本的に現代にはあり得ないもの。

 異世界から襲い掛かって来た敵に対して異世界の未知の技術で戦っていく。

 こう書くと少しSFらしいと思います。

 実際の所、今の世界には精神的な物をエネルギーにして何か生み出したり、動かしたりなんて技術はないわけですし。

 いつか未来でそんな便利そうな技術が現実にならないかなぁと思っています。

 なんなら作中さらっと変身中に身体の構造作り替えるなんて事もしていますし。トンデモ技術のオンパレード。


 とまぁ私が未来的な話を見出した要素はこれくらいなのですが、それを抜きにしても大変面白い作品となっております。

 当たり前のようにツインテールと言うワードが飛び交っていたり、怪人たちとのバトルは熱かったり。

 各話に怪人解説が挟まれていたり、最後の方には主人公側の解説が載っていたり、特撮が好きな方も大変楽しめる内容になっております。

 本編は既に完結済みなので続きを待たずに最後まで一気に読めますし、現在著者の水沢夢先生本人がコミックマーケットにて番外的な話を出しているので、供給不足も無く。

 隅から隅まで楽しめる、かなりおすすめの作品となっておりますので是非一度お読みください。


Text:2年 石川剣門

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